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修学旅行って何?

 修学旅行の季節がやってきた。全国的には10月実施のところが多いようだが、本校は9月実施でまもなく出発する。

 多くの修学旅行を引率してきた経験から、修学旅行に複雑な思いをいたすことがある。私の中の思いは「費用面」「運営面」「目的」にまとめられるようだ。

 ①費用面

 修学旅行が受注型企画旅行でありパッケージツアーよりも高額になることは、日本旅行業協会の説明である程度理解できる。教員としての疑問は、教育委員会による限度金額の設定である。全国修学旅行研究協会の調査によると、平成16年度の段階で18の都県が実施金額に上限を設けている。その金額は国内旅行だけを見ても千差万別。愛知県の65,000円から宮崎県・千葉県の100,000円まで大きな開きがある(その後、滋賀が金額を上げ福島・宮崎が上限金額を廃止する中で、なぜか熊本は8万円から7万9千円に下げた)。宮崎が地理的位置からも高額になることは理解できる。しかし、同じ九州の福岡は77,000円、長崎は78,000円なのである。ふつうに考えれば「高い宮崎はけしからん」だろうが、そこが少し違う。77,000円で行けるところはせいぜい近畿地方や四国。しかし実際にはうっかりすると北海道に行っている。つまり限度金額が安すぎるのである。県民から「修学旅行が高すぎる」という声があがると県議会で質問がくる。教育委員会は「委員会としてはこの金額で指導しています」と答えたいのだろう。かくして責任は「ウソの報告(実際には教育委員会は知っている)」をした現場の学校にまくられるのである。実際、私は高校時代に滋賀で72,000円の修学旅行だったが、信州3泊4日だった。この金額で北海道・沖縄などに行けるはずがないのである。教育現場の責任は常に現場の教師がとることになっているのである。それなら限度金額などもうけて欲しくないのだ。

 ②運営面(業者とのこと)

 修学旅行の行き先は教師が決めたり生徒からアンケートを採って決めたり、生徒の修学旅行委員会に考えさせたりいろいろである。大まかな目的と目的地が決まったら入札を行い業者を決定する。

 私が分からないのはまずここである。入札で明らかにやる気のない業者がいるのである。こちらが出した条件をクリアーしていない案を持ってくるのだ。ある学校の時には毎年業者が違った時もあった。ついでにいうと、3年連続で契約をゲットした優秀な担当者が「栄転した」ときいていたのに実はやめていたということもあった。なんだかあやしいのである。

 また、修学旅行の下見を前年に行うのだが、ここにも問題があった。業者やホテルが当たり前のように教師に接待するのである。正直私もかつてはされるがままに受けていたことがあった。しかしよく考えると接待費は生徒から集めた修学旅行費から出ているのであるから、接待は生徒にするべきなのだ。ある先生と修学旅行担当になったときにそのことを話し合い、「いっさい接待を受けない」ことを約束しあい、そのことを業者に伝えたところ「上と相談させて下さい」とのこと、数日後に「わかりました」ということだったので、「その分生徒に還元してくれ」といったら「難しいですが何か考えます」となったことがあった。かつては修学旅行当日も毎晩接待が続いたものである。しかし、バブル崩壊とともに業者側から消極的になり、今は私の周りには接待はほとんど見られなくなった。他校・他県ではどうだろうか。

 ついでに言うと、下見を学年担任団全員で夏休みなどに行う学校がどうやら存在する。実費で行っているのであろうから大変なことである。

 ③目的

 修学旅行の目的とはいったい何であろうか。「友人との人間関係を強固にする」「集団行動を学ぶ」「学校内では学べないことを現場で直に感じ学ぶ」などいろいろある。しかし、人間関係を強固にすることではクラブやクラスの活動に及ばないし、集団行動を学ぶことは遠足でもできる。「学校外で学ぶ」ことももちろん大切であるが、一昔前ならいざ知らず今時国内も国外も行こうと思えばすぐに行ける。学ぼうとする意欲があればだれでも学べる。以前に北海道道東の修学旅行を企画し、北方領土・知床と釧路湿原の大自然・阿寒湖畔でのアイヌ民族学習を入れ込んだ企画をしたことがあった。あの時にはそれなりの成果をあげたように思っていたが、卒業した生徒に聞くと「楽しかった」だけ。果たして意味があったのかなと思うのである。海外ならもっとスリリングで有意義な体験ができるのかもしれない。しかし、最大の収穫はやっぱり「思い出を作る」ことではないか。そう思うと、わざわざ遠くまで行かなくても修学旅行の目的は達成できるのではないかと思えてくるのである。

 そこで最初の話にもどる。修学旅行は別に近場でもいい。業者も入れず、自分たちではじめから終わりまで計画して折衝する。県教育委員会の限度金額なんか関係なくそういう安上がりで意味のある修学旅行はできないものであろうか。そんなことを最近考えているのだ。

 でもそんなことしたら教師がたいへんか。自分の首を自分で絞めるとはまさにこのこと。難しいものだとつくづく思う。

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