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単位未履修への複雑な思い

 今、マスコミをにぎわせている単位未履修問題。私の勤務校は、いわゆる進学校ではあるが学習指導要領内での指導を行っており、問題はなかった。

 しかし、一方で複雑な思いがあるのもたしかである。

 というのは、ひとつには学習指導要領通りにやれば教科書が終わらないのが現実なのである。たとえば「現代社会」は、新課程から4単位から2単位に減ったが、一部を選択にしただけで内容はさほど変わっていない。入試は全範囲から出題されるので結局授業だけでは入試対応ができないことになる。他の教科も3年生での教科は、1月のセンター入試までに終わらなければならない。できれば演習でもできればいいなと思っているが、なかなか超スピードの授業でも1月のセンターまでには終わるのが精一杯なのである。

 そこで、理系は「現代社会」と「地理」にしぼり、「世界史A」は必修だけれども中身は1年の「現代社会」と3年の「地理」の完成のために振り分けてやりましょうということになったり、受験に関係のない「情報」や「芸術」「家庭」などを削ろうということになる。また理科では「理科総合AB」などは困難校の為に用意されたようなところがあるので、進学校には必要ないのである。そこで「物化生地」の学習を先取りしようということになるのである。現場の苦労も工夫も私にはよくわかる。本音を言うとうちもやりたいところ。しかし、まじめにやっているところからするとずるをされると少しカチンと来たりもする。本当に複雑な気持ちなのである。

 もう一つは、「受験のためだけでなく人生の為の知識と力をつける学校に」という学校の本来の姿を取り戻すためには、土曜日の半日授業はやはり必要ではないか、ということである。「ゆとり教育」の削られた時間にはあまりにも余裕がないのが実態である。学校行事はどんどん削られる傾向にある。遠足がなくなり、キャンプがなくなり、修学旅行もなくそうという動きがある。また、これがいわゆる「読替」の原因にもなっているのである。

 そもそも、地域や家庭の教育力が落ちてきているのに土曜に家庭や地域に戻すというのも無理がある。結局親は子供に金を与えて遊ばしたり、習い事に行かせたりしているのだ。子供が「自分は邪魔なんだ」と疎外感を感じたり、教育に格差が生じる一因となっているという指摘さえある。

 しかし、それをすると教師はしんどくなるのである。土曜日は午前に授業して午後はクラブ。日曜日は練習や試合の引率と、休みは確実になくなるのである。ここの部分のケアなしにはこのことは声を大にして主張できない。そこがまた、気分を複雑なものにさせるのである。

 それにしても学習指導要領に「国歌・国旗」をうたったときには、入学式や卒業式をさんざんにチェックしていた県教委が、実はカリキュラムはチェックしていなかったなどとはよく言ったものである。現在のカリキュラム編成に携わった人も委員会には多い。「知ってくせに。また現場の責任にして~」というのが、現場の実感である。

 さらに言えば現場から採用されないカリキュラムを作った文部科学省の責任はどうなるのか。「特色ある学校作り」「競争原理を導入して」などと言う割に指導要領の徹底をする。おかしいではないか。矛盾したことを現場に投げかけておいて、現場が工夫すると「知らなかった」と開き直る。

 マスコミのコメンテーターも「塾に負けない授業をしろよ!」といってたやつが「指導要領を守れよ!」なんて言っている。

 あーバカバカし。やってられないのである。

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