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孤独な英雄・ リチャード・ジュエルさん!あなたを忘れない。

リチャード・ジュエルさんが8月29日に亡くなったと聞いた(享年44歳)。残念である。

ジュエルさんは96年アトランタ五輪開催中に警備員を務めていた公園で不審なリュックサックを見つけ警察に通報。そのおかげで多くの人を誘導できたが、リュックは爆発し1人が死亡、100人以上が負傷した。当初、英雄扱いされたが、地元紙の報道で一転、容疑者扱いされた人物である。その後真犯人が見つかるなど無実が証明された。

こういうと河野義行さんのことを思い出す方もおられるかも知れない。94年の松本サリン事件で一時犯人扱いされた方である。「会社員」という表現で完全に犯人扱いすることが長く続いた。マスコミは毎日の報道の相互に矛盾があるなど完全なスクープ合戦に堕ち、正確な報道は影を潜め言いたい放題・想像し放題の記事が紙面を飾った。専門家のはずの常石敬一長崎大学教授(当時)までが「有機リン系の農薬を原因とする、神経ガスが発生した」「サリンは知識さえ持っていれば簡単に製造できる」などと不確かな情報を流し、河野さんが犯人であるというような雰囲気の醸成に一躍買ってしまったのである。結局地下鉄サリン事件が起こり、オーム真理教の仕業であると確定したのである。

私は当時すでにマスコミ報道の問題点を理解していたので、「この会社員が犯人とは決まったわけではない」と周囲にも語っていたのだが、周囲から変人扱いされたのを覚えている。

ちなみに河野さんはジュエルさんとも97年に対談されている。

日本ではマスコミのインタビューも受けておられる。

http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/FEATURES/ATLANTA/atlanta-asano2.html

驚くべき事に、真犯人が捕まった後もジュエルさんは、「あやしい」とか「うさんくさい」とか言われていたそうである。マスコミがパニックに陥ると事件から離れて個人攻撃に陥るからである。日本でも週刊新潮を始めとするマスコミが河野さんに関するウソを書きまくった。「毒ガス事件発生源の怪奇家系図」などとあたかも河野家が異常な家系であり河野さんもその血を引いているかのように書いたが、実は河野さんは婿養子なので血筋とは全く無関係なのである。しかしそんな記事でも「犯人でなくても『怪奇家系』なんだろ」という印象だけは残すのである。

ジュエルさんの晩年はけっして幸せなものであるとはいいきれないものだとお聞きした。本当に残念である。それでも、ご自分が助けることの出来なかった爆破事件唯一の被害者の為に命日には爆破現場に花を供えに行かれていたという。

ジュエルさん。私は教師である限り、メディアリテラシーの大切さと報道被害の驚異について生徒に語り続けます。教師を辞めても一公民として語り続けます。その際に、必ずジュエルさんのような犠牲者を、二度と出してはならないと訴えます。

安らかにお眠り下さい。

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