「自民に不満」が「民主に不安」を上回る
最近、非自民連立政権誕生の時のことを思い出す。
あのとき、「とにかく自民はダメ」「自民は時代遅れ」というイメージが先行し、自民党が大敗し、勢いにまかせて、選挙前に公約にしたわけでもない非自民連立政権が誕生した。「時代は変わった」そういう雰囲気が広がった。私もそう思った一人だった。
しかし誕生した非自民政権は、国政経験がない総理の下で、現実的になれない社会党を抱き込んで、ウラでは小沢が操っていることが丸見えで、ほとんど何もできないまま、野党に落ちた自民党の必死の憲法術数の手にかかって瓦解した。
今の世間に当時と同じような空気を感じるのは私だけであろうか。
民主党は完全にイメージが先行している。私は現在の政界を混乱させているのは他でもない自民党の内部紛争だと思っている。民主党が評価されているわけではない。だいたい民主党の政権公約は信用していいのだろうか?私は疑問である。
一つ例をあげよう。
子ども手当である。中学生以下の子ども一人につき、月額26000円といっていたのが当面13000円になるそうだ。財源は、配偶者控除の廃止と扶養者控除の見直し。つまり専業主婦のおられる世帯には厳しく、共稼ぎ世帯にはうれしい政策。子どものいない世帯に厳しく、中学生のおられる世帯にうれしい政策。お年寄りを抱えている3世代世帯に厳しい政策。そういうことが分かって民主党を応援している人がどれだけいるだろうか。
世帯に直して考えてみよう。10%の累進課税率で計算すると、世帯にとって、
配偶者控除(国税38万円、住民税33万円の所得控除)。つまり、7万1千円。
と
扶養控除(扶養家族一人当たり国税38万円・住民税33万円。16歳~23歳までの扶養親族は国税63万円・住民税45万円。70歳以上の扶養親族は同居の場合国税58万円・住民税45万円、別居の場合は国税48万円・住民税38万円)。つまり「見直し」という言葉が「廃止」なら、
小中学生以下1人につき7万1千円。
高校・大学生1人につき10万8千円。
同居の70歳以上のお年寄り1人につき10万3千円。
別居の70歳以上のお年寄り1人につき9万6千円。
が増税になる。
さらに当然の事ながら、小学生以下の第1子と第2子に年額6万円、第3子に年額12万円の児童手当も貰えなくなる。
我が家の場合、配偶者控除(71,000円)、扶養控除(213,000円)の増税と児童手当(240,000円)が貰えなくなるので、52万4000円の負担増と引き替えに、子ども手当を貰うことになる。
こども手当は、13,000円×3人×12ヶ月=46万8000円であるから、実質5万6千円の負担増なのである。子どもが3人いる私の家でさえもそうなのだ。
各ご家庭で計算されてはいかがだろうか。ちなみに子どもと同居せず、専業主婦の奥さんがおられ、70歳以上のお年寄り夫妻と同居しておられるご家庭は27万7千円の負担増となる。
つまりこの政策は、児童手当が少ないから子ども手当として増やすのではなく、中学生の子どもさんがおられるご家庭を応援するために、それ以外のご家庭の負担増をはかるものなのだ。
そう言う風に正直に言わないところに、民主党の不誠実さがある。年金案も高速道路無料化も、肝心な財源になると「ムダをなくす」。どういうムダをどのようになくすのか聞くと、「野党だから詳しい資料がなく今は答えられない。」ならばどうして「ムダをはぶく」と言えるのか。「与党になったらやっぱり無理だったということが分かりました」というのではないか。実に誠意が感じられない!国民にはそういう不安があるのである。
しかし、その不安も自民党への不満の前には消し飛んでしまう。今まさに具体性のないイメージの台風が吹き荒れている。それが非自民政権誕生前夜と似ているのである。
「民主党が政権をとったら、手のひらを返したようにマスコミは民主党批判を始める!」
私の予言である。
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