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年金論議覚え書き

年金の議論ほど、間違った数字が横行したり別次元の物事がいっしょくたに論じられている物事はあるまい。現代社会や政経の授業をしていて生徒から質問されても答えられないことも多く、一度整理してみる必要があると感じ、今、何が議論になっているのか、をまとめてみることにした。

①現有制度にはどのような問題点があるのか。

まず、現在の制度は将来破綻する可能性があるのか?というと、これは、ない。
社会保障国民会議が今年5月に発表した試算によると、現制度で未納率65%でも年金は破綻しないことが分かった。これは当たり前のことで「未納の人」=「年金が貰えない」ので、「未納の人」が増えると将来の年金給付の総額も減るからである。さらに、年金の国庫負担が50%になりましたが、未納者が増えるとまじめに支払ってきた人に回せる割合が増えるのである。
そもそも、マスコミは「年金未納者50%」となどといって不安を煽っているが、年金未納者50%」とは、「国民年金しか加入していない第1号被保険者の50%」なのだ。国民年金は全成人国民が加入するものだから、サラリーマンや公務員も加入し給料天引きで支払っている。このサラリーマン、公務員とその配偶者を分母に入れていないのだ。現在の未納者は年金加入対象者の5%強くらい。ほとんどの方がきちんと支払っている。
参考 http://allabout.co.jp/finance/401k/closeup/CU20080629A/
しかし、現在の制度の問題は、特に国民年金のみの第1号被保険者は将来いくら年金を貰えるのか、ということである。「今納めている金額よりは多く貰える」ということはまちがいないが、第1号被保険者は月々の納付金額が低く、したがって帰ってくる金額も少ない。夫婦だと生活保護世帯を越えるが、単身だと生活保護の方が上回ることもある。これではおかしいという当然の声もあり、見直しが進められている。(ただし生活保護家庭には、貯蓄も資産も認められない。それを考えると年金の方が楽。)サラリーマン、公務員は、「現役時代の50%」が保障される。

②社会保険庁のとんでもない話は誰のせい?
 社会保険庁の役人達が怠慢な仕事をし、せっかく貯めた保険料をグリーンピアなどに浪費して、年金の信頼性に大きく傷がついたことは記憶に新しい。許せないことだ。
しかしこのことは、年金の制度がどうあるべきかという課題とは別件。社会保険庁の役人の怠慢は組合活動にも原因がある。ヤミ専従も同じ。与党の政治家の監督責任を攻めるのと同時に、組合のゆがんだ権利意識の中に多くの「ムダ」を生む構図があることを知るべきである。コンピュータの導入や国民総背番号制などの効率化を図る制度の導入に最も反対したのは組合だ。理由は「効率的になると仕事がなくなる。そうすると人が減らされる。」「新しい機械や制度には年配者がついていけない」というもの。学校でも成績処理や通知票作成にコンピュータを使用することを拒否していたのは、きまって組合系の方々だった。

年金の全額税方式ってどう?
忘れてはならないのは、現在すでに「半額税方式」であるということ。それを全額にする。それも「現在の制度は破綻する」とまで間違いを言い切って導入しようとする理由が私には分からない。
大きな違いは、現在の制度では「払ってない人は貰えない」。全額税方式なら「払ってこなかった人も貰える」。利点は、なんといっても、現在の制度では支払っている人にしか税金の恩恵がないが、全額税方式ならすべての国民に恩恵が行き渡るということ。また、国民年金と厚生年金と共済年金などの間の格差も埋めることができる。ただし、支払ってこなかった人のなかに「支払えなかった人」と「支払わなかった人」がいるわけで、後者がまじめに支払ってきた人と平等に扱われることには抵抗感も大きい。また、厚生年金と共済年金の加入者は多額を支払ってきたわけで、それを国民年金と丼勘定にされることには相当な抵抗があるだろう。さらに、この制度には相当な税金を必要とする。現在の厚生年金・共済年金は企業・自治体が半分を負担しているが、それも税金でまかなわなければならない。いったいどれだけの税金を必要とするのであろうか。そして国民の負担はいくらになるのであろうか。考えるとちょっと恐ろしい。全額消費税ですると15%や20%なんて話まである。しかし消費税で負担するとなると、年金生活者も年金を支えていることになり、すでに年金生活に入っている人にとっては「二重取り」になるということも知っておく必要がある。
新しい制度の導入は、「国民は過去に納めた金額にこだわらない」「国民は確実な年金のために高負担を選択する」「年金生活者も負担する」という腹が固まらないとできない。はたしてできるだろうか。

夢物語ではないのだから。

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