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マスコミと誤報

朝日新聞の誤報への追及が忙しい。

従軍慰安婦に強制連行したとする吉田清治なる人物の証言が誤りである、ということを認め、これを取り消した。また、福島第一原発事故の際に、作業員が所長の待機命令を無視して大半が第二原発に撤退した、という記事も誤りを認めて取り消した。

朝日の誤報はこれが初めてではない。サンゴ礁落書き事件(サンゴ礁を傷つける落書きがある、という話を取材に行ったが見つからず、記者が落書きを新たに書いて写真を撮った事件)は有名である。朝日に自分たちの価値観に合うように現実を操作する傾向があることは、以前から感じてきた。だから私は朝日を購読しない。

しかし、それを攻撃している他社も偉そうなことは言えない。産経新聞は江沢民中国前主席の死去を誤報した。失礼ではすまされない話である。週刊文春や週刊新潮にいたっては、もうむちゃくちゃである。例えば週刊新潮は、松本サリン事件でメディアにこぞって犯人扱いされた河野義行さんから「この記事が一番許せない」と指摘され、それだけではなく約束した謝罪条件を実行しなかった。朝日のミスが許されないことは当然のことだが、だからといって「鬼の首でも取ったように」朝日を批判する資格など彼らにはあるまい。互いが批判しあってよりよいマスコミ界にしてゆこう、というなら別だが。

7月に発表された安保法制に関する「閣議決定」など誤報だらけである。私は2日の新聞紙上の閣議決定文を読んでびっくりした。「集団的自衛権」の語が二か所しか出てこない。

一か所は、
『憲法第9条の下で例外的に許容される「武力の行使」について、従来から政府が一貫して表明してきた見解の根幹、いわば基本的な論理であり、昭和47年10月14日に参議院決算委員会に対し政府から提出された資料「集団的自衛権と憲法との関係」に明確に示されているところである。この基本的な論理は、憲法第9条の下では今後とも維持されなければならない。』

とある場所である。

その上でどのような武力行使がゆるされるか、を検討し『我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使すること』とした上で、

『憲法上許容される上記の「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある。』

としているのが二つ目である。

国際状況の変化によって単純に個別的自衛権と集団的自衛権を区別するのが難しくなった。そこで、今まできちんと議論してこなかった個別的自衛権と集団的自衛権の重なりの部分について、武力行使の対象にしようではないか、ということである。右よりの学者の中には、かえって自衛隊が活動しにくくなった、と嘆いている人もいるくらいである。

これを「すべての集団的自衛権が認められた」と朝日と毎日は警戒し、読売と産経は喜んでいる。どちらも誤報である。法整備の段階でまた議論が再燃することは間違いない。
(おそらく与党協議の段階で恣意的な「リーク」をしてマスコミを操作したのは、集団的自衛権の行使の範囲を広げたい勢力ではないか。国民に「集団的自衛権が容認された」と思いこませた方が、法整備の段階で解釈を広げやすいからだ)

今回判明した従軍慰安婦関連の誤報の最大の罪は、従軍慰安婦に政府や軍が関与していない、と確定したかのような印象を与えたことであろう。慰安婦の移動や性病検査などに軍が関与していたという話は散見され、それら別の証言には別の冷静な検討を加えなければならない。また、慰安婦が売春婦だというような決めつけと蔑みは厳に慎むべきである。

誤報はそれが誤報であるとわかったとしても真実を隠してしまうのだ。

朝日だけでなく、すべてのマスコミ各社に謙虚さを求める機会せねばなるまい。また、ネットに情報を流す私たちも同じである。

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コメント

お久しぶりです。

yossyさんには朝日の誤報と産経の誤報とが同じに見えるんですね。そこがに引っ掛かりました。私には朝日の誤報はうっかりや勘違い、翻訳ミスなどとは違って意図的だと私は感じます。yossyさんが取り上げた産経の場合は、スクープを狙った勇み足が原因だと私は感じました。同レベルなんでしょうか?

新聞でもネットでもTVでも全てのマスメディアには誤報が付き物です。お前らも誤報した過去があるから朝日の誤報に関して物を言う資格がないでは誰が誤報を正すんですかね?

慰安婦問題に関して私の意見は全て終わったこと。保障に関してもそれは韓国政府がするべき問題。謝罪は過去に何度もした。人権問題へのすり替えも、それなら朝鮮戦争時の慰安婦に保障して謝罪して、世界に散らばる韓国人売春婦もなんとかしろ。仮に強制的連行の新しい証拠が出てきても過去のこと。でも日本政府は韓国政府に圧力をかけてでも慰安婦に保障をさせるべきだと考えてます。


投稿: junk | 2014年9月28日 (日) 17時40分

しばらく休んでおりました。またぼちぼちやります。
junkさん。私は今の魔女狩りのような風潮に危険性を感じているのです。これはもう誤報をたしなめる程度を超えつつある。はっきり言って異常です。産経らにあるのは言論界の正常化という高尚な目的よりは肌の合わない同業者を叩きのめす好機を逃すな、という感情ではないかと思います。誉められた態度に感じられません。

ちなみに、
http://restoringhonor1000.info/main/news02.html
産経も自身のゆずりたくないテーマでは、謝罪しないようです。

投稿: | 2014年9月29日 (月) 23時15分

お久しぶりです。
確かに、朝日新聞を糾弾する新聞や雑誌が目につきますね。
ただそれは、肌の合わない同業者を叩きのめしたいからというよりも、単純に売れるからだと私は思います。
つまり、今が朝日叩きのトレンドだというだけです。
メディアとは、そのような性向のものであり、朝日のケースが特異な訳でもありません。

また、朝日の誤報に産経を持ち出すのもナンセンスです。
不作法を注意された子供が、「○○ちゃんもやってるじゃない」と言い訳する姿に似ていませんか?
食品偽装が発覚した企業を、過去に起こった同様の事件を取り上げて擁護しているのと同じことです。
そのような論評をしたところで、何の解決にもなりません。
かえって問題の本質を分かり難くしてしまうだけです。

大切なのは、事実を検証し今後にどう活かしていくかということだと思います。

投稿: NS太郎 | 2014年9月30日 (火) 03時00分

【日本軍慰安婦問題解決全国行動】
の記事を読みました。産経の記事が誤報、もしくは摸造であるなら、批判すべきことです。

『魔女狩りのような風潮』

魔女狩りとは無実の者が罪を着せられる処罰されることですよね? 国民やメディアからの朝日への非難は『魔女狩りのような風潮』とは違うと思います。

産経vs朝日の構図
>産経らにあるのは言論界の正常化という高尚な目的よりは肌の合わない同業者を叩きのめす好機を逃すな、という感情ではないかと思います。

これはその通りですね。そして日本人の多くが産経側に立つのもyossyさんの指摘に当てはまると思います。従軍慰安婦問題で日本は韓国に何度も何度も謝罪してきた。そして韓国側もこれで最後の謝罪で解決だと何人もの大統領が要求してきた。そしてその都度日本は裏切られた。そして現大統領パククネがまた日本に謝罪と賠償を求めています。このような過去に対して日本人の多くが怒ってます。日本人の韓国への嫌悪も朝日への非難に含まれていると思います。日本軍慰安婦問題解決全国行動のような団体、左翼と在日、それに朝鮮人、そして進歩的日本人と称する人への嫌悪も朝日への非難へ含まれていると思います。

(話ちょっと脱線して修学旅行で土下座④へ)

投稿: junk | 2014年10月 9日 (木) 22時50分

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