森田健作のこと
森田健作の剣道二段が自称であるという。言葉の使い方を間違えてはいけない。自称ではない。詐称であろう。
全日本剣道連盟以外に剣道の段位を授与している団体は存在しない。それを彼は「僕の師匠は範士なんですよ。その師匠から『二段をゆるす』といわれた」などと説明しているらしいが、『君の実力は二段に匹敵する』といわれることは激励としてあり得るとして、『二段をゆるす』は江戸時代の道場時代じゃあるまいし、あまりの時代錯誤に驚く。しかももしそういう事実があったとしても、選挙のプロフィールに使えないことなど当たり前である。その開き直り方に驚く。
だいたい二段という段位をどのように思っているのだろう。初段・二段は「普及段位」である。励みにするために授与する段位なのだ。中学生以上の人が2~3年継続的に剣道に取り組めば二段に達するだろう。はっきりいえば「ちよっとかじった」程度の段位なのだ。それを選挙に使うという時点で恥ずかしさを覚えるのが剣道をまじめにやってきたものの矜持のはずだ。そもそも高校1年生の時に二段の実力があるのなら実際に二段を取るのが常識だろう。しかし、二段は初段を取って一年後にしか受審できないが、森田は初段も正式には持っていないという。段位をとっていないということは、やめちゃったということか。
森田が師事したのは、奥田芳太郎氏であるという。昭和32年に範士となられている。叔父にあたるとか。森田氏のオフィシャルWEBサイトに明記してあることによると、週末に泊まりに行って庭先で教えてもらった、ということらしい。親戚同士の心温まる風景ではあるが、まじめに剣道に取り組んでいる者からすれば自称二段などとは片腹痛い。
森田は、1992年の参議院選挙で、連合の推薦を受けて当選。なのに1994年に自民党に移り、自社さ連立政権の時の首班指名では村山富市ではなく河野洋平に投票。1998年に衆議院に乗り換え。選挙違反で公設秘書が捕まるなど危ない橋を渡りながら、2000年には公認漏れしたものの無所属で当選。2003年には国会議員への立候補をやめて知事を目指した。その際、無所属を名乗りながら自民党に所属し続けた。はっきり言えば、政治屋で変節漢なのである。
政治資金規正法違反容疑もあった。
「俺は男だ!」に影響されて剣道を始めた人は多い。私もその一人である。森田にしてみたら、「実は剣道をあまりしたことがない」などと言えない雰囲気もあったのではないかと推測する。しかし、それを公的な選挙に使ってはならない。はっきりと経歴詐称ではないか。
こういうことを「どうでもいい」という方もおられると思う。「剣道二段だから知事にしたわけではない」と。古賀潤一郎がペパーダイン大学卒と学歴詐称した事件でもそう言う人がいた。今時の有権者は学歴にこだわって投票しないからいいのではないか、と。しかし問題は、とりもなおさず本人がその経歴にこだわったからこそ詐称したのだという事実だ。古賀はアメリカの大学卒のほうが有権者にうけると思ったから詐称した。彼は学歴至上主義なのだ。森田は剣道二段という印象が自分のアイデンティティに必要だった。その方が有権者に与える印象がいいと判断したのだろう。有権者にとって「どうでもいい」事実だが彼らにとって「どうでもよくない」事実なのだったのだ。つまらないことにこだわってウソまでつく人間が当選してしまったという事実こそが重要なのだ。
剣道をだしに使って経歴を詐称したのだ。剣道に関わる者として、許せない気持ちでいっぱいである。
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